その日の放課後。疎らに生徒の影が残る、三年生の教室。
「ちょい、部長」
そう呼ばれて、坂本は声のほうを振り返った。
転校生の浅倉薫が廊下から覗いている。
「ん、浅倉か。どうしたんだ?」
「朝、見かけたんだけどさあ…。部長と日野ってあんな関係だっけ?」
「え?」
「仲良さそうに学校来てたじゃん。部員に手出すのって…」

坂本は浅倉をぶん殴った。

「ぐふっ! 本気で殴った!?」
自称宇宙人、浅倉薫。
彼も新聞部の一員である。
「さて、行くか…」
坂本は浅倉を放置し教室を出た。

校舎一階、新聞部。
坂本が部室の扉を開けると、中でPCをいじっていた生徒が振り返る。
「先に入ってます、坂本さん」
三年生の蔵田晃。
今では同学年だが、元々坂本の後輩の彼は、一年生の頃から新聞部にいる。
「おっす。晃、なんか良いネタあったか?」
「えっと…微妙です」
そう言って晃は画面に目を戻し、坂本もPCを覗き込む。
画面には、恐怖サイトの掲示板が表示されている。
今、新聞部では夏の企画に向け、学校怪談や都市伝説の噂を集めている最中である。
坂本、浅倉、晃…その後、部室に明葉以外の全員が集まった。