そうして三日後‐。

美由は悪夢に悩まされる事無く、普段通り学校生活をしている。
新聞部は、真夜中倶楽部の住人とおかしな交流が続いている。
穏やかな五月の空が広がるその日、明葉は学校の屋上を訪れた。
「………いる?」
無人の屋上で、明葉が言う。
「いるよ」
間を外して、明葉の視界の外から声が返って来た。
振り向くと、柵に上体を預ける少年の後ろ姿があった。
明葉は、彼の近くに歩き寄った。
「…ありがとう。美由を助けてくれて」
「どう致しまして」
「けど…敵じゃないなら、もっと早く教えてくれると良かったのに」
「性格悪いのは自覚してる」
「………。あの、聞いて良い?」
「何をだ」
「わからない事があるの。…私、どうして美由の夢の中に入れたの?」

会話が、途切れた。

「正確に言うと、お前はあの子の夢と繋がってた訳じゃない」
少年が少し空を見上げて言う。
「…え?」
「お前が人の夢を見始めたのは、俺と夢で会ってからだろう?」
「…うん」
「お前が悪夢に入り込む理由は…俺の夢と繋がってるからだ。俺が人の夢に入ると、お前も入る」

又、沈黙が流れた。