放課後、校舎を出る明葉。
明葉は、美由の家に行ってみようと思っていた。
学校が騒ぎになっていない以上、大丈夫とは思うが…やはり心配で仕様が無い。
あの後、美由は無事に悪夢から目覚めたのか?
明葉は歩きながら考えていた。

そんな彼女を、屋上から見下ろす影があった‐。

不意に、明葉は足を止めた。
振り返って校舎を見上げる。何も変わりは無い学校。
「今、誰か…?」
明葉は、屋上に違和感を感じた。
立ち止まっていた明葉は、やがて校舎へ引き返し始めた。
再びの校内。
一度外に出たせいか、先程より薄暗く感じる。
廊下を歩くが誰とも出会わない。
階段を上がる。明葉の足音が響く。
今頃新聞部の皆、どうしてるかな…。
そう考えるのは、明葉の中に恐怖があるからかもしれない。
やがて全ての階段を上がり、明葉は屋上の扉に手をかけた。
鉄製の扉から、ひんやりとした感触が伝わってくる。
「………」
不意に、フラッシュバックのよう浮かぶ光景があった。
最初の夢で扉を開ける自分の姿。
それが、何故か今の明葉に重なって思えた。
ノブを握る手に力が籠る。
明葉は、心と扉と一緒に押した。