目を開けると自分の部屋。
「………」
汗だくの体で、明葉は目覚めた。
起き上がる。体に痛みは無い。
普段と何も変わらぬ、部屋の景色。窓の外は暗く夜が続いている。
「美由‐…」
その後、朝が来るまで明葉は一睡も出来ずにいた。

翌日、疲労した心体で登校する。

「おはよう…どうしたんだ? 顔色悪いな」
道の途中、又、坂本が声をかけて来た。
「先輩…。おはようございます、何でもないです」
そう言って笑顔をつくり、明葉は視線を落とした。
学校に着き、廊下を急ぐ。
美由が来ている事を願って、教室の扉を開ける。
が、美由の姿は無かった…。

授業時間が、上の空で流れてゆく。
昼休みが来て、明葉は三年生の教室へ足を運んだ。
そして坂本に、今日の部活を欠席する事を伝えた。
「休むって? …良いけど、明葉ほんとに大丈夫か?」
今朝の様子あってか、坂本は心配そうに言う。
「大丈夫です。急にすいません、心配かけちゃって」
「いや、何でもなけりゃ良いさ。じゃあ俺とアイツらでやるよ」
「お願いします…」
明葉は、坂本に頭を下げた。
学校が終わる頃、空は薄暗く雲が広がり始めていた。