「…美由? …いるの!?」
明葉が聞いたのは、確かに美由の叫ぶ声であった。
返事は無い。とにかく廊下を進む。
酷く薄暗いが、辛うじて所々照明が息を繋いでおり、視界は開けている。
廊下の曲がりまで来た明葉は、闇の中で壁に背中を預けうずくまる、人影と出会った。
「………美由…?」
明葉が言う。人影が、ゆっくりと明葉を向く。
「日野さん…?」
それはやはり雪村美由の姿‐。
明葉は美由に駆け寄り、思わず彼女の背中を支える。
美由は虚ろげな表情をしていた。
「どうして美由、ココに…!」
「どうしてって…。日野さんまで出て来るなんて、本当変な夢」
美由は明葉の問いには答えず、視線を落とす。
「え…?」
不意に明葉は、昼間の美由の言葉を思い出していた。

学校の夢‐…。

そして、明葉の中でひとつの想像が膨らんでゆく。
「コレ…美由の夢なの?」
今居る空間は、美由が話していた夢の内容と一致する。
自分と美由は同じ夢の中に居る…?
明葉は、何故かそう感じられた。