「まぁ、1年生がいきなり出場して優勝出来る程甘い試合じゃない。……と言いたい所なんだがな………」


森田先生のその言葉で何故かレギュラーメンバーと目線が合う。


「この中に1人だけ1年生の時に当時全国大会個人戦3位で部の中で一番強かった部長をストレートで倒し、優勝した奴が居るんだよな…………」


そう言うともう誰のことなのか特定されてしまい、事情を良く知っている3年生全員が私の顔を見る。


「そう言えばそんなこともあったような………」


なんて目線を反らしながら言うと、事情を知らない他の部員達はえーっと驚きの声を上げた。


1年生は部長の俊輔くんだと思ったらしく、ずっと俊輔くんを見ていたんだけど、まさかそれが私のことを指していたとは夢にも思わなかったらしい。


「だから女人禁制のこのテニス部で一緒に練習をすることを許されるようになったんだ。」


「そうそう、レギュラー争奪戦で優勝なんかされたら今まで入部を反対してた奴らも認めざるを得ないもんなぁ。」


「あの時の唯那は最高に格好良かったからな。
同じ1年生だった俺達は唯那を見て頑張ろうって思えたからな。」


なんて俊輔くんと健二くんと涼くんが口を揃える。