「もー、芙美ちゃんはっきりしないとダメだよー。こんなチャンス二度とないかもしれないん
だよー。もー、なんでその場で返事しなかったのさー」


「…面目ない」

「もー、まー、いいや。で、ほかには何かなかったの?」

「ほかには…」


まー、何もなかったといっていいだろう。

連れまわされただけだし。

「…もー、袴田君も言うのが遅いよねー」

「…遅いとは?」

「卒業式の時に言えばよかったのにっていうこと」

「…」


何、卒業式に言えばよかったとはいったいどういうこと


「もー、芙美ちゃんは変なとこで気づかないからー」

「…麻未ちゃんは何か知ってたの?」

「当り前!!つーか、袴田君わかりやすすぎだったし!!」


「…」


わかりやすすぎねー。

高校の時のことはそんなに鮮明には覚えてないけど…

…特に、袴田君との思い出なんてほとんどない気がする。