周りは、人人人人…

さらに、私は今どこにいるのかまったくわかりません。

…完全に迷いました。

はぐれました。

どうしましょう。

いっそのこと私はこのまま帰ってしまおうか。

…うん、それがいい。

ここはどこだかわかる。

それなりにはね。


「…さてと」


帰ろうと思いましたよ。

でもですね。そうは簡単にはいきませんよね。世の中。


「南―迷子になるなよー」

「…」


現れました袴田君が。

…非常に残念なことに。


「迷子になんてません、ちょっとボケってしてたら、袴田君がいなくなってたんです」

「…それって迷子じゃね?」

「…違います」

「まー、いいから早く来いよ」


そういって、連れてこられたのは私が一番苦手なお店。

化粧の香水の匂いがごちゃごちゃしているお店です。

なぜに、袴田君はこんなところに私を連れてきたのか。

…私には到底理解できません。