それさえも拾ってくれるソウタ先輩。


「すっ、すみません!」

「いやいいよ。それより、俺もう行かなくちゃいけないから……じゃあな。」


そうして、すぐさま行ってしまった。

……王子が行っちゃった。


幸せな時間はどうしてこんなにもあっという間なのだろう。


もっと話せる時間がほしい。

知りたい、ソウタ先輩のコト。


人間は本当に欲張りだ。この間まで見ているだけで十分だったじゃないか。


あたしは椅子へ戻ると、紙袋に入った自分のお弁当を取り出した。