ーーそれから一時間後。
あたしの頭の中は、もちろんのこと、ソウタ先輩で溢れかえりまくっていた。
お弁当を落としたのが、あの、ソウタ先輩で
謝ってくれたのもソウタ先輩で、
拾ってくれたのも、お弁当を持って行ってしまったのも、耳元でつぶやいたのも、
まるごと全部ソウタ先輩なんだ……。
「帰ってこい!!」
「あ〜ん、静かにしてよアキ〜」
浸ってるんだから。彼との思い出に浸りまくりなんだから!
それまでって、いつなんだろう?
正直、あの後は胸がいっぱいで、ご飯はいらないて言ってしまうほどだった。
まさか、こんなひょんな事で話せるきっかけが出来たなんて……。
あたしってば、なんて幸せ者なの!?
ーーと、始まりのお告げはほんのささいなものでした。