でも、ガラッとドアを閉める寸前に、もう一度ソウタ君を見たんだ。
「ばいば〜い」
……そう言ったのは、ソウタ君じゃなくて、隣にいたマサだった。
ソウタ君はおしゃべりに夢中。
結局あたしは天国から地獄に突き落とされたような、そんな気分になった。
なんなの、
なんなのなんなのよ〜!
せっかくの二人きりの時間が一瞬すぎて、あたしにだってよくわからなかったってのに!
胸のあたりを少しだけつまんだ。
近くにいた時、ソウタ君の匂いがしたの。
ミントのような爽やかな香り。
校門を出る時にあたしは空に向かってこう言ったんだ。
「あ〜!くやし〜よ〜〜〜!」
その声も虚しく、風に紛れて飛んで行った。