「……ぃ………ぉぃ…おい!藤咲!!」
ガツンと俺の頭に痛みが走る

「…った………あ、茂木先生」
目の前にいたのは般若のような顔をした数学教師の茂木隆行せんせー

おぉ顔が真っ赤だ

てかもう4限なのか。寝すぎたかも…

「いい加減にしろよな。俺の授業で寝るのはお前ぐらいだ」

「すみません」
とりあえず後が面倒だから謝っとこう

「お前はなぁ…。しかもなんだ転校生に教科書を見せるくらいの優しさもないのか」

あ、そういえば俺の隣はあの転校生だったな
「悪いな。俺寝てて。これ使っていいから」
そう言って俺は数学の教科書を桜木に渡す


「え、でもそうしたら藤咲くんが…」
困惑した顔で桜木は俺を見つめてくる

「いや、俺は気にしないでいいから使って」

机くっつけるとか面倒だし
桜木の机に教科書を置きながら言う

「あっ…ありがとう!」

さぁ俺の仕事終わったから寝よ…


「そうはさせないぞ。ほら藤咲ここを解いてみろ」

んだよダルいな……なんて言ったらヤバイから何も言わない



「えー、じゃぁ8で」

「…ふざけんなよオイ。解答欄見てみろ。明らかに分数になるだろここは」

「そしたらパスしまーす」

「仕方ねぇな……じゃぁ神谷ここ解け」

少し離れたところから“うぇぇ!?”って声が聞こえた
ごめんよ神谷くん。誰だか知らないけど



しかし神谷くんが答える前に授業終了のチャイムが鳴った