店の中は俺が最後にここにいた時と何も変わってはいなかった


あの時、ここは俺にとってアイツらにとって唯一の居場所だった




《アンタなんか………っ》


うわ…嫌なこと思い出しちまった…

「おいおい紫乃眉間皺よりすぎ……また思い出したか?」

マスターの方を向き、こくりとうなづく

「はやくアイツらの所行きな。待ってるぞ」
マスターは自分の後ろを親指で指し、俺に優しく言った

そうだな…こういう時はいつもアイツらがいたから

「ん…さんきゅ」

一言そう告げて俺はカーテンで仕切られた奥の部屋へ歩き出した



俺の後ろでマスターは嬉しそうな顔をして仕事をしていた

「アイツも変わったな…」



マスターの声は俺に届くことはなかった