「え…」
俺らが今いる所からは少し離れてはいるが、そこには俺らがよく知る姿があった
《おい紫乃、お前――――――って本当なのかよ》
《んなこと言ったって、信じられねぇよ…》
ずっと忘れていたはずの言葉が次々と出てきては、重みを持ってどんどん溜まっていく
「紫乃…………大丈夫?」
「あ…あぁ…。一応何とか…」
再びアイツの方を向くと、彼方も俺に気づいたようで、驚いた顔が見えた
「アイツ、俺に気づいたっぽい」
俺のことをやっと見つけたからか、走って来る姿に苦笑いしか出来ない
それに
「―――――紫乃!」
この懐かしい声を聞いても、俺の心は冷えきっていくだけだ