「にしても、宗田先生
気がきくじゃーん」


華菜といつもの帰り道を歩く。


「うん、まぁね。そっとしといてくれたもんね、」


さっきの宗田先生を思い出す

ただ、目で訴えるだけで伝わるもの
なんだろうか?

それとも、あの先生はエスパーなのか、


「なぁに、難しい顔してんの」

華菜の声で我に返る。

「ううん。目で訴えただけで、伝わるものなのかな?って思って。」


「伝わるんじゃない?
ああいう、先生だと。」


華菜は夕日を見上げる。



華菜の言葉に疑問を覚えたが
聞くのが面倒だったのでやめた。


「そういえば、明日はテストだねー」

「....あー。そういえば、」


帰りの会の時の担任の話を
思い出す。


「華菜は頭いいから、いーじゃん」


華菜は学力もルックスもよくて
私と比べものにならない。


「なーに、言ってんの。
あ、今日もお邪魔してもいい?」


家の前で立ち止まった華菜が

いたずらに笑う。


「華菜ったら、そのつもりで
いたんでしょ。」


華菜がカバンをゴソゴソとあさるのを
見ながらため息まじりに呟く。


「今日からお母さん達、旅行に

行くって朝起きたら。置き手紙が」


華菜は呆れ顔で笑った。


「相変わらずだね、華菜の家族は」

「なにがよー」


2人で顔を見合わせて笑う。


「んじゃ、おじゃましまーす」

「勝手にあがるなー!」


今日は眠れない夜になりそうだ。