ここは人通りの少ない路地。



彼女が泣いていても人1人通らないから誰にも注目されない。



それが不幸中の幸い(??)かな。



「と、とりあえず、俺の上から退いてください。」



彼女は素直に従ってくれたが、涙は止まらないようだ。



「学校! 学校行きましょう! 西学園ですよね?」



あいかわらず、彼女はしゃべらずただ、コクコクと首を縦に振るだけだ。



よし、学校に行こう!……と歩きだしたんだけど……。



例の彼女が歩き出さない。



カバンすら持とうとしない。



「あ"ー! ほら、行くよ!」



しびれを切らした俺は彼女のカバンと腕を取って学校への道を急いだ。