篠崎さんのおじいさんにまた来るとつげて、店を後にした。



「……あの、市川くん?」

「なんですか?」

「えっと……ごめんね、なんでもない。」

「??」

「あ! そう言えば、市川くんちってどこ? 送って行くよ!」

「え、俺女の子に家まで送られるんですか?」

「あ、そっか、ごめんね!」

「いいですよ、俺が篠崎さんのこと送ります。」



篠崎さんって、どっか抜けてるな……。



「私の家、めっちゃ近いから大丈夫だけど……。」

「でも……。」



いや、彼氏でもない俺が家まで送るのってどうなんだ?



そもそも、こんなところ彼氏に見られたら?



それって、篠崎さんにも俺にも良くないよな?



「篠崎さん、俺と2人でいて彼氏さん怒ったりしないんですか?」

「……大丈夫。彼氏、いないから。」



そう言って微笑んだ篠崎さんは、どこか無理をして笑っているようだった。



『市川くん、ほんとにここで大丈夫だから。また学校でね!』



俺の返事も聞かずに篠崎さんは颯爽と走っていってしまった。



なんか、初日でなにもなかったはずなのに……疲れたな……。