更科くんとは中学からの同級生で、私たちは今年高校二年生だから五年間の付き合いだけど、クラスメートになったのは今年が初めてだった。
そんな私でも更科くんのことは中1のころからよく知っていた。
このキレイで涼しげ~な目元、通った鼻、薄い唇。
スタイルも抜群で、成績優秀、スポーツ万能。
こんな人がいたら、どこにいったって噂になっちゃうのはムリもないと思う。
その更科くんが突然、笑顔のまま私の制服の胸ポケットにてを突っ込んできた。
「ひぃっ!???」
突然のことに身動きできない。
思わず赤面。さらさらの黒髪が私の眼前まで。
やっと離れたと思ったら、はじめて息を止めてたことに気づいた。
「ななななな……なにするのっ!?」
更科くんはパニクりまくる私を前になんの動揺もなく微笑んでいる。
「これ読んでいい?」
「!!!」
更科くんの指の間に挟まっていたのは、問題のメモ。
反射的に手を伸ばして取り返そうとするけど
そのメモは寸前のところで私の届かない更科くんの頭の上に。
「だ、ダメダメダメ!!!
返して!!」
精一杯手を伸ばしても全然かするはずもなく……
なんでそんなに、無駄に背が高いの!???(自分は155cm)
「えー? いーじゃん、ちょっとだけ」
「やだやだ、ね、ほんとお願い、更科くんっ」
「えー」
子供みたいにふざけて頬を膨らます更科くん。
えーー、じゃ、ない!!!
更科くんは優してたよりになる、みんなそう言ってるけど、
私は昔から、時々こういう更科くんの自由すぎる一面を見る。
フリーダムもいいけど、
今だけはほんとうに、勘弁してください……!!!