「おかえりなさい、夕飯すぐ食べる?」

家に着くと、お母さんが駆け寄ってきた。
この頃、そんな母をウザったく思う。



「まだいい」

あたしは一言だけ言うと、階段を上った。
お母さんが悲しそうな顔で、あたしを見ているのが目に浮んだ。


しかしあたしはそのまま部屋に入った。





バタンッ

扉が閉じる音と同時に、部屋が暗闇に包まれた。




「はぁ…」

ため息をすると電気をつけ、あたしはベッドに転がった。




真っ白な天井、ポスターだらけの壁…


あたしはちょっと前まで、ある芸能人のファンだった。

やめたキッカケは特にない。
ただ、どんどん売れていく彼を見るのが嫌だったんだ。