「うわっ。俺、もう会社行かなきゃ」
菅原さんは、腕時計を見ながらガタッと椅子から立ち上がった。
「まったく、菅ちゃんは朝弱いんだから」
絹さんははあ、とため息をついた。
「あーほんとだよ。俺朝って調子出ない。瑞希ちゃんにもガッツリ拒否られたし」
「……菅原さんは朝じゃなくても、そんなですよ」
光くんが、ボソッとつぶやいた。
「じゃ、行ってきます」
菅原さんは光くんのつぶやきは聞こえなかったようで、ジャケットを羽織って、黒いカバンを抱えて食堂から出て行った。
……私の毒舌疑惑、撤回されなかったようです。