「こっち」



と、突然ぐいっと腕が引っ張られ、路地裏に連れられた。



誰?



私は朦朧とする頭で考えたが、とりあえず今はこの人について行くしかない。


腕を引っ張られながら、私はどんどん複雑に入り組んだ路地裏を走る。


街のネオンが遠くから入ってくるほどの明かりの中、この人はサッサと進んでいく。


私はもう体力の限界を超えたみたいで、足がもつれそうになりながらもなんとかついて行った。






どれくらい走っただろうか。


後ろから追ってくる人影は見当たらず、どうやら私はお父さんから逃げ切れたらしいと分かった。