「ただいま」

…………?
この声はもしかして……

あぁ。やっぱり。
でもなんで?
まぁ、聞けばいいのか。

「お父さん、おかえりなさい。
今日は帰ってきたんだね。
言ってくれたらご飯用意してたのに」
「ご飯は食べてきた。
お前はもう食べたのか?」
「うん。」
「そうか。
話があるんだ。
聞いてくれるか?」
「わかった」
「それが、会社がつぶれそうなんだ。
お前に協力してほしいことがある」

え………?
ウソでしょ……?
会社がつぶれるなんて……

「うん…
何かな?
言って?」
「お前、正田君を覚えてるかか?」
「うん。
確か…お兄ちゃんと同級生で、うちに も何度か遊びに来たことあったかな?
でも、なんで?
この話に正田先輩は関係なくない?」
「いや。
うちの会社の製品を正田君のうちの会 社で 使ってもらえそうなんだ。
ただ……条件があってな」
「条件?」
「お前を、正田君の彼女にすることだそ うだ」
「え…?」
「正田君はお前のことが好きなんだそう だ。もちろん、恋愛的な意味で」

はい〜〜〜〜⁈
なんでなんでなんで⁈
正田先輩、あんなカッコ良くてモテんのに……どうして、私なんか……?

「ごめんね。
少し考えさせて?」
「わかった。
会社の未来がかかってるんだ。
真剣に考えてほしい」
「うん…
私もう寝るね。
おやすみなさい」