——…




「しずくさん、出番まで一分切りました」




「はい。よろしくお願いします」




あたしはイヤモニを確認すると、車椅子を押し始める。




「しずくさん、お手伝いしますよ」




スタッフさんが押そうとしてくれるのを、あたしは拒む。




「ありがとうございます。でも大丈夫ですので」




観に来て下さっているお客様の前くらいでは、自分一人の姿で立ってみたい。