黙りこんだまま
数秒が経った。
マーくんは
あたしに触れていた
手を離して
少し悲しそうな瞳で
あたしを見つめる。
次の瞬間。
「さっきの人は…
ヒメの元彼?」
マーくんからの、唐突な質問。
「…え?! あ…えと…」
あたしは動揺した。
「ヒメのこと、まだ好きなんだね」
「ち、違うよ…
あたしは…都合のいい女だと…思われてただけで…」
「……俺。
ヒメの彼氏じゃないしさ。
なんて言ったらいいか本当にわかんなくて。」
「うん………」
「悔しかった。
あいつの方が
俺よりヒメの事知ってるのかなって思って」
「……………」
「何も言い返せなくてさ。殴り返す事もできないし。」
「……うん」
「俺は……
ヒメのこと
守りたいよ。」
「………え?」
「ちゃんと、胸をはって
ヒメの彼氏なんだって
言いたい
って思ってる。」
「えっ?……あ……」