たまにアイツのスマホを鳴らして、小学生男子と茉璃探し。
どこ行ったんだよ……。
しばらく、ぐるぐる歩いてたら俺の腕を引っ張って走り出した。
「見付けた!あの子だよ!」
小学生男子が走る先には、ピンクの浴衣を着た女の子と手繋いでる……茉璃!?
「あっ!隼世くん!」
「茉璃!お前、どこ行ってたんだよー…」
「ごめんなさい!それと……女の子の人探し手伝ってたの」
小首を傾げて悪気なく笑う。
こんなんじゃ、怒るのも怒れねぇよ。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん、ありがとう!」
「どういたしまして!もう、迷子にならないように気をつけてね?」
「ほんとだよ。探す方の身にもなれってな」
「うっ……ひどいです、隼世くん!」
小学生二人は祭の人混みに消えてった。
茉璃は俺の少し後ろで、申し訳なさそうに笑って言った。
「ほんとに……ごめんね?あたしも隼世くんのこと探したの」
「お前はすぐふらっとどっか行くから困る。だから……離すなよ!」
「ふふっ……ありがとう。絶対に隼世くんから離れません!」
「あんまり、かわいいこと言うな」
アイツの手は少し冷たくて、この暑さにはちょーどいい。
なんもなくてよかった~……。