「へぇ、俺なんか、会ったのはアリシアちゃんより2年前くらいだからなぁ……」
アドロフは興味津津だ。
「何?昔話?私も混ぜて!」
すると、向かいから、おかわりのオムライスを持ってきたアリシアが身を乗り出した。
「余計なことを言うな。」
「えぇー?」
ヴォルフラムにアリシアは膨れっ面をする。
「だって、ヴォルフラムは話さないでしょー?」
「無駄なことだ。」
「無駄とか余計って、大事な人の過去をそんな風に……」
アリシアはそこまで言って、ヴォルフラムに睨まれて黙った。
「ヴォルフラムー?彼女をいじめるの、よくないぜー??」
「いじめていない。」
アドロフに心外そうな表情をする。
「それで、よぉー……」
構うことなく、ドゥルフが話す。
ヴォルフラムは諦めの視線でオムライスを食べることに専念した。
「今から……んー、何年だっけな。」
「10年よ。」
「そんなに経つか?」
ロウウィンにドゥルフはおどける。
「ヴォルフラムはこの基地の近くに落ちていた。」
「モノみたいに言わないの。」
ドゥルフをロウウィンが小突く。
「それをワシは拾った。」
懐かしむように言う。
「——出会って直ぐのコイツは」
「馳走になった。」
ヴォルフラムは遮るように席を立って去った。
「おい」
「いいのよ。自分の過去を聞くのがつまらないだけでしょう。ね?」
アドロフを牽制して、アリシアはヴォルフラムを見た。
「ん。」
少し振り向いてこくっと頷く。
「続けて?」
アリシアは興味を持った視線でドゥルフを見る。
「……出会って直ぐのアイツはまるで、死に急いでるようだった。」
「噂では、ヒト喰らいと呼ばれていたようね。」
ロウウィンは言う。

『俺に構うな!』
攻撃的に手を払い、睨む。
『まぁまぁ!』
構わず笑うドゥルフにヴォルフラムは踵を返す。
『行くとこ、ねぇだろ。こんなご時世だ。』
『貴様に関係ない。』
『敵か味方か、はっきりしねぇと……人間側と思われても文句言えねぇぞ?』
『あんなものと一緒にするな。』
ヴォルフラムは睨む。
『じゃ、一緒じゃないという証拠として我が軍に来い。ワシが何とか通してやる。』
『何故、貴様などと』
『一緒にされるよりマシだろう?』
『……』

「ってなわけで、此処に引き入れた。」
「冷たいし、すぐ怒るし、殺戮マシーンだし……誰も近寄ろうとしなかったわ。」
「へぇ。」