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原チャの送迎が始まってから2週間くらい経った頃。

その夜は気温が低くて、あたしはホットの缶コーヒーを買ってから店を出た。

店の前にはいつもの原チャと、少し厚着をした深田恭一。

あたしはこっそり近づいて、深田恭一の頬に熱々の缶コーヒーを押し付けた。


「うぉあっツ!!」


相当びっくりしたようで、深田恭一は原チャから転がり落ちた。

それを見て、いつもオーバーリアクションはわざとじゃないのかも、と思う。


「驚きすぎじゃん」

「あーびくったァ…。おつかれ美緒ちゃん」

「うん。…はいコレ」

「コーヒー? 俺にくれんの?」


深田恭一は起き上がり、嬉しそうにコーヒーを受け取った。


「あったけ~」


早速缶を開けて、口をつける。

その横顔は、やっぱり黙ってればカッコイイ。

表情が豊かだから、子どもっぽくも見えるけど。


「あんたさァ…大学生なんでしょ?」


実はまだ、あたしは深田恭一の正体を知らないでいた。

だってコイツ、いつもはぐらかすから。

ペラペラくだらないおしゃべりは得意なくせに、自分のことはあんまり喋りたがらない。