あたしは真剣にそう思い始めたっていうのに、深田恭一の方は相変わらずヘラヘラと緩い。

タンクトップを捲って、ボリボリとお腹を掻いたり、その態度はふざけているとしか思えない。


「…アンタ、あたしをからかってるワケじゃないんだよね?」

「えっ? 何で?」

「…違うなら別にいいんだけど」


きっとこの男は常時こんな態度なんだ。

いちいち気にしちゃダメ。


「もうちょっと詳しく話してよ。アンタはストーカーなんじゃなくて、あたしと知り合いだったの?」

「あー…。それよりさ、今日はバイトいいの?」

「え。……あっ!」


言われて、慌てて携帯を見た。

やばい、ギリギリだ。

走らないと間に合わない。


「…ってゆーか、なんであたしがバイトしてること知ってんの」

「やだなぁ。俺は美緒ちゃんのことなら、なんでも知ってるんだゾ」


パチンとウィンクが飛ぶ。


「ストーカーだから?」


睨んでやると、相手はガクリとうなだれた。