見えなかったけど…


「別に美緒ちゃんが気づかなくても良かったんだ。このメッセージは俺の気持ちってゆーか、自己満ってゆーかね。うん」


ちょっと待って。

それじゃあ…


「あのテディベアは、あんたがくれたの?」


その答えに行き着いたあたしは、すっきるするどころか余計に混乱した。

だって、どういうこと?

あたしはこいつと、初対面じゃなかったの?

ずっと前に、会ってたの?

あたしは、

『深田恭一』を知ってたの…?


「あんた…誰なの?」


あたしは深田恭一に対する警戒心が薄れて、力なく尋ねていた。

このストーカーまがいの男は、あたしの知らないあたしの過去を知っているんだ。

そう思うと、深田恭一がいかに怪しかろうと、いかにイラっとくるようなヘラヘラ顔でも、いかにうざったいテンションで喋る奴でも。

そんなことはどうでもよくなった。

知りたい。

あたしの過去が。

深田恭一という男が。