「あ。クマの背中開けたんだ?」

「この紙、なに?」

「俺から美緒ちゃんへのラブレター。なんちゃってェ」


どこまでもふざけた男には、さすがに普段は冷静なあたしもキレそうになる。

でもここはガマンだ。

堪えろあたし。


「ちゃんと答えて。この紙、昨日今日入れたものじゃないでしょ。もっと古い」

「うんうん。そうだね」

「…問題はいつ、誰が、なんのために入れたのか」

「おおっ。なんか美緒ちゃん、探偵みたいでカッコイイゾッ」


…どこまで堪えられるだろう。

もうすでにヘラヘラ顔を殴りたい。


「あんたがコレ入れたんでしょ? いつ、なんのために入れたの」

「ああソレ? はじめっから入ってたんだよね」

「はァ?」

「キミがテディベアを手にした時点で、すでにその紙は入ってたの。美緒ちゃんが気づかなかっただけで、ずっと入ってたんだよ」


ニコリと笑う深田恭一は、いまだけは冗談を言ってるようには見えなかった。