ユリたちの姿が見えなくなるまで見送っている間は、ヘラ男も静かにしていた。

しばらくしてからあたしは、仁王立ちをして深田恭一と向かい合う。


「何の用?」

「あれ。用がなきゃ会ってもらえないの?」

「ってゆーか、用があったとしても会いたくない」


きっぱり言ってやると、深田恭一はヘラっと笑って頭をかいた。


「冷たいなァ。キミと俺との仲じゃない」

「…誤解招くようなこと言わないで」

「何で怒るのー? 俺が誰だか、わかったんでしょ?」


平均以上には整っている顔をずいと近づけられて、

あたしはつい反射的に、その左頬平手打ちしていた。