ぴゅうぴゅうと誰かが口笛を吹き、

「おおーっ!」

という声がいくつも重なる。

セレナはエリアルの隣の椅子にひょいと腰をかけ、


「お酒、強いのね」


そう言って、微笑みかけていた。

すると、エリアルは得意げに、

「まあね」

と含み笑いをした。

「驚いたな。
……君は、日本人かい?それとも中国人?」

「中国系のフランス人よ。
母が上海出身なの」

セレナ達が話し始めると、だんだんと人がはけていった。

完全に酔いが回った男達が、肩を支えられながら、
やっとよたよたとドアを目指す。