そう思っていても、いじめをしたのなら、それは最低な人に変わりない。

 でも、あたしがもしあの立場だったら、きっといじめに参加していた。



 いじめっていうのは、伝染していく。


 次は誰が、次は誰を、って。

 昨日いじめの首謀者だった人が、明日はいじめを受けているかもしれない。


 だから、みんな敏感になる。


 いじめられないように、人をいじめる。

 自分を守るために、心を痛めながら誰かをいじめるんだ。



 それはダメなことなのかもしれないけど、仕方ないことなんだ。

 許してはいけないけれど、悲しいことだけど、しょうがないこと。



 でも、でも……やっぱり、あたしは許せない。


 だから、今自分がしていることが、最低なことに思えてくる。

 これはいじめじゃないけど、一歩踏み間違えたらいじめになるようなことは、怖くて出来ない。




「……美喜ちゃーん?どうしたー?」


 そんな声が隣から聞こえてきて、はっとする。

 俯いていた顔を上げれば、目の前にはみんながいた。

 あたしに話しかけたのは、いつの間にかあたしの隣に居る、高田君だと思う。


 優喜も、びしょびしょになった体で、不思議そうにあたしを見ていた。



「あっ……ううん、なんもない」


「…?そう?」


 優喜はそう言うと、笑った。



「じゃあ、続き開始するぞー!!」