___僕はこれから一世一代の大イベントを行う。



ふぅ。
これで深呼吸するのは何度目だろうか。


さっきからメールは完成しているのにどうも送信ボタンが押せないのだ。
もう内容を暗記するほどメールを見直し、送信する準備は整っているというのに。




「どうしてそんなに躊躇ってるんだよ?」




と、必ず誰かは問うだろう。



否、恐らくこれは僕の悪魔だ。
よくマンガなどにあるだろう。その人の頭の中にいる天使と悪魔


誰にだって悪魔や天使が住み着いているんだ。
今になってそれを実感する。


僕だってこれがただの友人に送るメールなら見直しもせずに送信をしている。


けど今回はあんな仮染めの友情なんかとは規模がまったく違うのだ。





____僕は好きな人に初めてのメールをする。





文面では緊張を隠したいつもの僕のように綴られているが実際はどうだ。

みっともないくらい心臓が早鐘を打っている。




「仲良くなるチャンスだろ。」



「いや、でも今日じゃなくてもいいんじゃないかな?」




ついに僕の頭の中に天使まででてきてしまった。


・・・いや、天使ではないな。悪魔だ。


言っていることは悪魔のほうが正しいに決まってている。
いつまでもウジウジしていたってしょうがないのだ。





ふぅ。


ため息を吐きすぎた。

きっともう僕に幸せは残されていないだろう。

それでも頑張らなければ。僕の初恋なのだから。



そして僕は意を決してメールを送信した。