どうして空は青いのだろう。

どうして地球は回るのだろう。


成績優秀と言われる私でもそんなことは検討もつかない。


最近よくこのような事を考えてしまう。
もしかしたらノイローゼ気味なのかもしれない。



窓際の席に座る私は空をずっと眺めていた。




「・・・久世さん?どうしたのですか、珍しいですね。貴女が上の空だなんて。体調が悪いのですか?」



古典の先生に指摘されやっと我にかえる。



『ハッす、すみません。大丈夫です。』


「そうですか。」




・・・まったく、何をやっているのだろう。

上の空なんてよくある事なのかもしれないが、私にとっては大問題なのだ。



(っ!まただ・・・。)



ふと斜め後ろからボソボソと話し声が聞こえる。




「またでたよ、差別。」



「本当、久世さんて真面目だからってさ〜。上の空だけで心配されるとか、逆に笑えるわ!」



「だよねー!顔が美人だからって男子にちやほやされちゃってさ。てかなんでいつも敬語なんだろうね。ないわー」





___本人達は聞こえないように言っているのかもしれないけど、最悪なことにすべて私の耳に届いていた。




私に対する嫌味が____。






悲しくはなかった。

こんな事日常茶飯事だからね。


男子と話すだけで何故か他の女子に文句を言われる毎日。


女子と話せば「なんで敬語なの?」と笑われる毎日。


どうしてだろう。私だって男子とだって女子とだって話したい。
それにこの敬語は口癖で抜けないっていつも言っているのに。


私って本当、ネガティブだなぁ・・・。



思考回路を余計なことに働かせているうちに学校にチャイムが鳴り響いた。



「リーコちゃんっ!」


『あ、瀬奈ちゃん。』



号令が終わってすぐに私の数少ない友達
霜山 瀬奈 (シモヤマ セナ)が私のもとに来てくれた。



「あ!ねぇねぇ、数学の宿題ってやった?」



『もちろん。終わらせました。』



「さっすがリコちゃん!ごめん見せてくれないかなっ?今日あてられるの!」



『はい、いいですよ。』



「うはー。ありがとうリコちゃん!」



「あー。ウチにも見せてー久世さん!」




私と瀬奈ちゃんの間を割いるように入ってきたクラスの女子。


・・・いつもは私を邪魔者扱いしてるくせに。こういう時だけ。



「いいよね?久世さん。」



『・・・はい。』



「やったー!久世さんサイコー!」





何が最高だ。私のことを裏では嫌って表では利用するくせに。


瀬奈ちゃんはその子を睨むようにみつめていた。



そして私をみて悲しそうな顔で切なそうに、それでいて申し訳なさそうに微笑んだ。


__あぁ、そんな顔しないでください、瀬奈ちゃん。


私が何も言い返せないのが悪いんですから。




「・・・よし、ありがとね!リコちゃん。」



『いえ大丈夫ですよ。』




休憩終了のチャイムが鳴り響く。



そさくさと自分の机に戻る先程の女子。



・・・お礼も言わないだなんて。



まぁ、愚痴愚痴考えていたって勉強の邪魔になるだけだ。

今は大事な時期なんだから集中しなくちゃ...。




___ふとどこからか視線を感じた。



周りを見渡せばどこにも私を見ている人などいない。



(・・・疲れているのですかね?)




今日は帰ってすぐに寝るとしよう。