これは、僕らの出会いと別れの
物語。


Ⅰ…四月

4/10 午前8:00
「新入生起立!」
「新入生着席」

春。この季節は色々な出来事がある
入学式、始業式、新入式…
新たな出会いと別れが生じるこの季節は
誰もが待ち望んでいた季節だろう
けれど、私にとってこの季節は
待ち望んでいた季節ではない。
中学校を卒業して仲が良かった友達とも
別々の道に別れ
お互いが新しい道に行った。
「不安」だけが、私に残り
「希望」という言葉はなかった。


「HRはじめるぞー」
「はーい」

空は青空、晴れわたった景色が
窓から見える
(早くおわらないかなぁ…)
私は、長い時間話を聞くのが苦手で
HRは特に嫌いだった
こんないい天気なのに
中にいるのはもったいない
と思いながら話を聞いていた

「これでHRを終わる」

(はぁ、やっと終わった…)
教室はまだ、新しい人ばかりで
静かだった
耳をすませると、鳥の声が聞こえてきた
静かだからこそ聞こえる音は
心に響いて思い出が蘇ってくる
(なんで、音はこんなに心に響くんだろう
言葉は響くものと響かない物があるのに…)
と思いながら窓辺を見ていた