家を出るとすぐに、女子の大群に遭遇してしまった。
…ああもう……最悪だ。
「悠希君!お、おはよっ!」
1人の女子が俺に声をかけてきた。
それにつられて周りの女子も挨拶を交え話しかけてくる。
「皆おはよう。」
研究して作り上げてきた完璧な笑顔でそう返すと、皆頬を赤く染めキャーキャー言いだした。
そして俺を取り囲むようにして歩き出した女子。
……いつもの事だが、たまには1人でゆっくり登校したい…なんて。
「悠希君、肌綺麗だよね〜」
「今日も部活でしょ?試合、応援しにいくよ♪」
「ねー私今日小森君にクッキー作ってきたんだ!
次々と出てくる会話に頭が痛くなる
(はあ…どうでもいいだろそんな事。)
そんな素振りは一切見せないよう、
一つ一つ丁寧に返事を返していく。