STORY3【小森悠希】


…父さん、ごめんな
俺がこんな体に生まれたせいで。



母さん、折角産んでくれたのに…2人を悲しませてごめん。



…本当にごめん…





母さん、父さん…でも……





……俺は………っ……







ーーーーーーーーーーーーーーー…





"いつも通り"の朝




……悪夢を見た


といっても寝ても覚めても悪夢は終わらないんだけどさ


「…寝てる時くらい良い夢みせろよな」


誰にも聞こえない位の声でそう呟いた。






「悠希ー?そろそろ起きなさーいー」


1階から聞こえてきた母さんの声。



「はーい」



俺は周りの男子と比べて少し背が低く、小柄だ。


少しだけ、な。



声変わりだってしていない…



無理して低めに作った声で返事を返した




姉の千紗はまだ寝てるようだ。





大きくて足に合わない26センチ紐靴を履くと、


玄関のドアを開けた。



目を閉じ、外の空気を吸い込んで深呼吸をすると


そっと目を開け歩き出しす。
















さっきまでの俺は居ない






いや、居ないんじゃなくて、自ら消した



…家から一歩外に出たらそこは演劇場ー…



演じるんだ、



両親のために



完璧な自分を。