あたし、貝谷裕里。高1。
胸元まである黒髪をポニーテール。
そう、今日は入学式。
メイクはいつもより濃い目にしてスカートの丈は3回曲げて気合い
充分。
「ゆり、今日もかわいい。」
そう自分にいい聞かせ、家をでた。
まだ慣れない坂道を歩いていると、桜の花びらが散る向こう側に、、、
「はるた!お待たせ!」
「全然待ってないよ。今日もかわいいね、ゆり。」
山田はるた(17)
そう、はるたと出会ったのは中2の夏。
スタンドからみた、はるたの野球姿に一目惚れしたあたしは猛アタック。
憧れのはるたと付き合えてもうすぐ2年。
幸せ絶好調。
そんなはるたと一緒に今日から登校。
ドキドキしながら入学式の席に座った。
「なぁなぁ、名前なんて言うん?あたしなぁ、ゆうかって言うんよ、滋賀出「なぁ、あたしはな、あやかって言うんよ「あやかちゃんしゃべらんとんてよ、、、、」
おんなじ顔が2つ。正直戸惑ったあたし。
「ポニーテールかわいいね。私りなって言うんだ。りなぶーって呼んでね。名前なんて言うの?」
「ゆりだよ。今日は入学式だから気合いいれてきちゃった。」
「すごい似合ってる。あっよかったらLINE教えて!」
すごくかわいい。この子となら仲良くなれそう!!
「ねぇねぇ、たこは筋肉痛になるのかな?」
「・・・。」
やっぱ無理かも。
あたし、友達できるかな。
長い長い入学式もおわり、不安を抱えながら教室にはいった。
あたしの席は窓際の後ろから2番目。
キーンコーンカーンコーン
ガラガラガラ
「トゥーモロートゥモローアイラヴャートゥモロー明日は幸せ
はい、私がこのクラスの担任です。
畑美佳子です。
あなたたちと一年間一緒に過ごします。
じゃあ、とりあえずみんなのこと知りたいで、これ書いてやー。」
とんとん。
「筆記用具忘れちゃったペン貸して☆」
「いいよー。」
「あーーー!やヴぁーーい!これ九州限定のキティちゃんじゃん!!めっちゃかわいー!!すごいー!!ねー名前なんて言うのー?」
「ゆりだよ!よろしくね!」
みくの第一印象はすっごくかわいい。どっかで聞いたことある声、、、。
キーンコーンカーンコーン
「ゆりー。帰ろー。」
教室まで迎えに来てくれて晴男と一緒に下校。
友達もできてハッピースクールライフの始まりだー!
「みんなって彼氏いるのー?みくはねー理想はたくさんあるんだけど、そろそろ現実彼氏ほしいなー。ゆりたちみたいに一緒に登下校したいもん。」
「一緒に登下校は幸せだよー。みくにも早くそんな人できるといーね!」
「りなも彼氏いるんだよ。ようちゃんって言うの。」
「あたしらはおらんなー。」
高校生活も毎日が順調。
幸せすぎて怖いな。
ふと、外を見ると、
3組のめいちゃんが泣いている。
どうしたんだろ。
後ろから走ってくるのは、
「え。はるた?、、、」
晴夫はそのまま腕をつかみ、めいちゃんを呼びとめた。何を話してるかは分からない。頭の中は真っ白。
「ゆり?ゆり?大丈夫?」
「大丈夫。何でもないよ。」
はるたとの下校中、勇気を振りしぼって聞いてみた。
「ねぇはるた、今日グラウンドにいた?」
「・・いなかったよ。」
「そっかそっか。み間違いかあ。」
あたしははるたのその言葉を自分に言い聞かせた。
こうなったらヨウカンのやけ食いだー!!!
「さなえお母さん、ヨウカンちょうだい。」
「あんたが全部食べたんじゃん。食べたいなら買ってこれば?」
「もう買ってくるからいい!」
あたしはコンビニにヨウカンを買いにいった。
「いらっしゃいませ。かいやさんおつかれさまです。こんな時間にどうしたんすか?」
「こいつには会いたくなかった。」
前田けんと(16) コンビニセブンの店員である。
そんなこと関係なくコンビニにあるヨウカンを大人買い。
やっぱりもやもやは晴れなくて気づいたらはるたとの思い出の公園に向かっていた。
「ぱさっ」
そこには泣いているめいちゃんを抱きしめるはるたがいた。
「は、はるた?」
「ゆ、ゆり?」
「どうゆうこと?何か理由があるんだよね?」
「ごめん。おれはこいつを放っておけないんだ。ゆりには大切二してくれる親も友達もいるだろ。こいつにはおれしかいないんだ。すまん。別れてくれ。」
パシッ
タッタッタッタ
「最低!!!!!!!」
そう言ってあたしはもっているヨウカンをはるたに投げつけた。
あたしは無我夢中で走った。
たくさん走った。
まだまだ走った。
バンっ
「あっれ~こんな時間に女の子が一人でいる~~
彼氏にでも振られたの~?そんで今ぶつかったから
さめちゃんの腕折れちゃったんだけど~~責任とってよ~~」
何このチンピラ。
こんなんで折れるわけないじゃん。
「ねー聞いてんのー?」
「そいつ俺のつれなんだけど。」
「あぁ?引っ込んでろ」
ボンっ
きづいたらそのチンピラは倒れてた。
「覚えてろ!島津先輩と与那嶺先輩に言いつけてやる!」
チンピラは去っていった。
「大丈夫?怪我はない?家まで送ってくよ。」
「うん、大丈夫。ありがとうごいます。あの、名前なんて言うんですか?」
「加藤愛輝やお。そっちはなんて言うの?」、
「貝谷裕里です。」
加藤愛輝は隣町にすむ16歳。
見た目はイカついけど笑うと八重歯がちらっと見える。
わたしはその笑顔に 心が奪われてしまったんだ
ゆり、この人のこともっと知りたい!!!
もお心には、はるたのことなんて
一ミリも興味がなくなってたんだ