『翔吾くん、ありがとう。』
『いやいや、それより…
あんなに大樹が感情を露わにするなんて、よっぽど好きなんだな。』
『…違うよ…。』
『えっ…?何が?』
『有海くんが好きなのは…、私じゃなくて、付き合ってるのも私じゃない。』
『は?え?どーゆーこと?』
『有海くんの本当の彼女は私じゃなくて…、
麻美さんだよ。』
『……っ!あり得ねぇよっ!!』
『えっ…?』
『大樹が今更、あんなやつのこと好きなはずかねぇっ!!』
『どっ…どうして?』
ああ、何でカッコいい人が怒ったらいつも怖いんだろうか。
『大樹は…、本気で有栖のことが好きだぞ?』
『本当に…?』
『信じてやれよっ!!彼氏だろっ!!』
『でもっ…。』
『なんだよっ!!』
翔吾は私の両肩を掴んで私の体を揺さぶる。
『私っ…、不安…なんだ…。』
『不…安?』
『どうしてあんなにカッコいい人が私みたいな地味な可愛くもない子に構うんだろうって。
私、怖かった。
みんなから批判的な目で見られるのが。』
『大丈夫だって、きっと…いや、絶対に大樹が助けに来てくれる。』
『本当に…?』
『ああ、俺が約束する。』
『っ!私行って来る!!ちゃんと謝って話し合ってくるっ!!』
『頑張れよ。』
翔吾はそんな風に言うと私の両肩から手を退けてそっと背中を押す。
私は一度振り返った。
すると…、ニコッと笑った。
私は笑い返して有海くんの元へと急いだ。