そう…、材料を買いに行った帰り道。
歩道の信号が青になったのを確認して、私達はゆっくり歩き出した。
そしてあともうちょっとで渡り終わると言うとき…、お兄ちゃんに力いっぱい押された。
もちろん、身体は前に倒れてしまった。
私は驚いて急いで後ろを向くと真っ赤に染まった道路…、そして横たわる影。
そして…、何事も無かったかのように走り出すトラック…。
『……りす。』
お兄ちゃんの声が聞こえた。
私は弾かれたように走り出した。
『お兄ちゃん!!!』
『あ…りす、……け…がは?』
『ない!!お兄ちゃん!!しっかりしてぇっ!!』
『よかっ……た…。』
そう言ってゆっくり目を閉じた。
そのあと救急車が来て運ばれて…、手術は成功したはずなのに…。
お兄ちゃんはいつまでたっても目を覚まさなかった。