雄大side



あの日から5日ほど過ぎた。

有栖はずっと意識がないままだった。

今のところ容体は安定して居る。

俺は有栖にそっと近づき頬に触れた。

その瞬間、有栖はビクッと反応した。

そして、ゆっくりと目を開け、こちらをジッと見つめていた。

『有栖…。』

『お…にい…ちゃ…ん。…わ…たし、……ど…うな…った…の?』

『心配させんなよ!!いきなり家飛び出して!危ないだろ!』

『ご…めん…な…さっ。』

『有栖、お前は低体温症でうずくまっていたんだよ。』

『て…い…たい…おん…しょ…う?』

『ああ。』

ーーガラガラッ!

有栖は扉を開ける音にびっくりして飛び上がった。

『あ…りす?』

そこに立っていたのは母さんだった。

有栖は目を見開き震え出した。

『有栖?』

母さんは駆け寄っていて有栖の腕を掴んだ。

『嫌っ!!離してよぉっ!!』

有栖は母さんの腕を振り払った。

『有栖、大丈夫だよ。』

俺は有栖が一番安心できそうな声でそう呟いた。

すると有栖は振り払った母さんの手をゆっくりと包み込んだ。

『ごめ…ん…なさい。』

『いいのよ!ごめんね?びっくりしたよね。』

母さんはそう言いながら、有栖の頭を撫でていた。

有栖は満足そうに笑っていた。