診察室に入るなり、先生はとても険しい顔をしながら父さんと話していた。
そして、母さんがそれを聞いて、泣き出してしまった。
まさか…、
いや、そんなわけ無いはずだ。
『有栖…、今凄く危険な…状態らしいよ。』
『危険?危険って何だよ。』
『もしかしたら、もうダメかもって。』
『そんなわけねぇよ、有栖は絶対に日本に帰らねぇといけねぇんだ。
こんな時にへたばるやつじゃない!!』
『でもっ…。』
『大丈夫だって。』
そう言って俺は有栖の右手をギュっと握った。
そうすると、有栖の顔が少しだけ綻んだ気がした。