『翔吾、有栖は何処にいる?』

『向こうで寝てるよ。』

『そっか。』

『飛鳥も向こうで寝てる。』

『有栖が無事で良かった。』

『なぁ、大樹多分また麻美さんは襲ってくると思うぜ?』

『分かってる。』

『早く手を打たねぇとな。』

『ああ。』

ーーガタンッ。

向こうの部屋から大きな音がした。

『有栖?』

俺は部屋の扉を開けた。

有栖の近くの床には有栖のケータイが落ちていた。

有栖はというと、青ざめた顔で落ちたケータイを見て居た。

でも有栖ははっと我に返ったのかケータイを拾いこちらに笑顔を向けた。

『ごめん、驚かせちゃった?』

『……どうした?』

『ううん、何でもない。』

『言え。』

『何でもないよ?』

あんまり、深入りしちゃいけねぇのかもしれねぇな。

『……分かった。』

『麻美さんは?』

『知らねぇ。』

『そっか。』

有栖はそれだけ言うと俯いた。

何があったのだろうか。

時が経てば教えてくれるかもな。