『でも、きっといつかあの子はあなたを捨てるわ。』
『あり得ねぇよ。』
『あら?わからないじゃない?
まぁ、もしくは…、
大樹があの子を裏切るか。』
『俺が有栖を裏切る?
はっ…、笑わせるな。』
『でも、絶対に無いってことはないでしょ?』
『俺は絶対にしねぇよ。』
『あの子を随分と愛してるのね。』
『ああ。』
当たり前だ、有栖が今の俺の全てだ。
『そんな幸せ、私が全て壊してあげる。』
『はぁ!?』
壊す?
俺達の幸せを?
『私が壊してあげるって言ってんの。』
プチッ…。
俺の中の何かが切れた。
俺は麻美の横の壁を麻美に当たるか当らないかのすれすれで殴った。
バンッ。
『ふざけんじゃねぇぞ、そんなことをしたら……
命がないと思え。』
『っ!』
『じゃあな。』
俺はゆっくり部屋を後にする。
その時、俺は気づかなかった。
麻美が不気味な笑みを浮かべていたことに…。