『いやっ!離してっ!!』

そう言って私は有海くんを力いっぱい押した。

でも、有海くんは離れず逆にギュウギュウと抱きついて来た。

『嫌だ…、離すもんか。』

何で…?

どうして…?

有海くんには…、


麻美さんがいるじゃん!?

『何で…?』

『えっ…?』

『何でよっ!!有海くんには…

麻美さんがいるでしょっ!?
有海くんの彼女は麻美さんでしょっ!?
私は…、有海くんの彼女じゃないっ!』

いつの間にか私は泣いていた。

有海くんはいったん私を離して、自分の指で優しく私の涙を拭いた。

そしてまた私を抱きしめた。

『違う…、そんなの嘘だ。』

『何が嘘なの…?』

『俺の彼女は麻美じゃねぇっ!』

違うのは有海くんの方だよ…。

私は本人の口から聞いたんだもん。

間違ってるはず…ないよ。