「あっ、あのっ…名前。教えて下さい!」

「…えっ!?何、名前?…もしかして俺に惚れちゃった?」

そう、戯けた顔をしていう。

「ほっ…惚れ!?ちちちがくて、そのっ、お礼!そう、お礼しなきゃと思って!」

「…ふぅん、名前ね。えっとねぇ…」

そいつは手近にある紙を取って、さらさらと何かを書きつけると、あたしに見せた。

その紙には、『結城 真尋』と、右肩上がりの特徴的な字で書いてあった。