「行かねぇよ。」
そう言うと、和馬は頬を膨らませた。
「えーっ!なんでっ、真尋が居ないとつまんないじゃん」
「俺、今日の図書室カウンター当番だから」
「えーっ!そんなのサボってさぁ・・・あっちょ、真尋!どこ行くのさっ!」
俺はそう言う和馬の声を背中越しに聞きながら、図書室に向かって走る。
どうせ行っても、誰も来ないんだろうけど。
図書室は一階にあるから、3階から階段を下りる。
一階まで着くと、ばさばさという音とともに、「きゃっ」と言う声が聞こえてる。
よかった、さぼんなくて。
図書室の前にあの子がいる。
きっと君は、俺のことなんて、忘れてるんだろうね。
でも、待ってて。
きっと俺が、君の心、ぜんぶかっさらうから。
話し掛けようと、一歩足を踏み出した。