「そう言えば、陸は好きな人居ないの?」

「え?」

「モテるのに、全然彼女作らないでしょ?理想が高いの?この前、穂乃華ちゃんに陸は面食いなのかって聞かれた」

「………」



屈託なく笑う雫に
胸が締め付けられた。

好きな人は、目の前に居るのに…

苦しくて胸が…痛い。


もし俺が“好きだ”と言ったら

雫はどんな顔をする────?


「っ」


でも、言ったらダメだ…
だから…口を閉じろ。


なのに意志とは裏腹に口が、動く。


「居る、よ…好きな人…」

「え、嘘!?誰?同じ学校の人?」


やめろ。
言ったら何もかも終わる。


ドクンドクンと脈が速くなる。
手には汗が滲んだ。

言うつもりなんて、
さっきまでなかったのに…


でもどうしても、


「俺の、目の前に居る人…」

「……え?」

「ごめん、ね?」



雫が好きで。

今にも溢れてしまいそうで。



─────もう、限界だったんだ。