「…雫?」

「………」



陸が内心ビクビクしつつ、
勇気を出して雫に話しかける。

だけど返事がない。

しかも雫が下を向いて
動かなくて。


雫の顔を覗き込んだ。


「!、…雫」



目にいっぱいの涙を溜めて
零さないように耐える雫が

陸の瞳に映った。



「…しず、」

「陸なんか嫌い」

「え?」

「嫌い!」


雫がガタッと立ち上がって
講義室を飛び出した。


「え、雫!?」


陸が、慌てて追いかける。